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中庸への回帰

ベンチャーキャピタリスト/山家 創(やんべ そう)のブログです。

ベンチャーキャピタリストに求められる意思決定とは?

先日、米ベンチャーのセラノスに関して、シリコンバレーの内情をよくご存知な渡辺千賀さんの記事を拝読しました。(お会いしたことはありませんが。。)

非常に参考になり、いろいろ考えることがあったのでまとめます。 

キャピタリストによるリファレンス

一般的なVCのディールフローとして、ソーシングからデューデリジェンスまでに、第三者(ベンチャーでもなくVCでもない)にリファレンスとしてインタビューを実施することが多いです。

例えば、その技術領域の専門家や顧客(候補)へのヒヤリングなどです。VCは横の繋がりが強いですから、他のキャピタリストへのリファレンスもあるかもしれません。

もちろん、リファレンスで全ての投資判断がなされるわけではありませんが、「良いリファレンス」を取れるかどうかは、キャピタリストの人脈形成含めて重要です。

但し、ここで注目すべきは、そのリファレンス自体を疑えるかどうかかなと。

つまり、今回のヘリオスで言われているのは、オラクルCEOのラリー・エリソンを始めとする著名人が同社に投資を実行したことによって、このリファレンス先が非常に充実していた(というか充実しているように見えた)ために、多くの投資家が実体のない技術に700億円もの金をつぎ込んでしまったわけです。ブランド名だけに価値を見出す買い物と似ているかもしれません。

最後の投資判断は主観

渡辺さんが指摘している重要なポイントは客観的な意見ではなく主観で投資すること」だと思います。リファレンス=客観的なデータ・意見が一般的なVCで重要視されると述べながら矛盾していますが、リファレンス先がすでにベンチャーに対して一定のバイアスが掛かっている(特に共同研究先などベンチャーWin-Winな関係の)場合には特に注意が必要ですし、どんなにリファレンスを取ったところで、最後の投資判断はキャピタリスト本人なわけです。

キャピタリスト本人のバイアス

これはキャピタリストとしての経験値によるのかもしれませんが、私のように経験の浅い人間はどうしても「投資機会を逃したくない」、すなわち「投資する」方にバイアスが掛かるのではないでしょうか。ベンチャーキャピタリストの仕事は投資して初めてスタートするわけで、そのスタート地点は沢山あった方がいいですよね。ファンドの情勢が悪くて案件が限られる場合も同じようなバイアスが掛かりそうです。

投資しないという意思決定

このバイアスを排除して、いかにフラットな意思決定が出来るか。これは突き詰めると「投資しない」という意思決定が出来るかどうか。今回のヘリオスを失敗とするならば、当社に手を出さなかったセコイヤやアンドリーセン・ホロウィッツなどの目利きは、その点においてやっぱり凄いわけです。「投資しない」という意思決定がある種当たったわけですから。

「投資しなかった時に後悔するかどうか」

目の前にいるベンチャー企業がこれから大きく羽ばたくとして、自分がそこに居合わせなかったことに後悔するかどうか。拙くシンプルですが、僕自身はこれを大事にしていこうと思います。